2013年5月22日水曜日

ゲームの面白さは「マンモス肉」

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時々、ゲームの面白さって、どうやって考えるんですか?といったことを聞かれますが、一番参考にしているのは以下です。
我々が学習するということは、種の存続にとって重要だということを示しています。それゆえ、肉体は喜びという報酬を与えて我々に報いてくれるわけです。ゲームの中におもしろさを見いだす方法はいくつも存在しますし、その他のことに関しては後述します。しかし、これこそが最も重要なことなのです。 
ゲームから得られるおもしろさは、達成感から得られるものです。そしてそれは会得したという事実からもたらされます。それは、ゲームをおもしろくするパズルを解く行為そのものなのです。
言い換えると、ゲームを使った学習は麻薬なのです。  
「おもしろい」のゲームデザイン ―楽しいゲームを作る理論より

少しわかりにくいので噛み砕いていうと
  1. ゲームとは学習である
  2. 学習がうまくいくと、気持ち良いと感じる
  3. ゲーム=学習・達成=気持ち良い
ということです。
もちろん他にも様々な要素があると思いますが、本書の示す通り、原点はここなんじゃないかと思う次第です。



「生命としての本能」を利用し、快感を得ることができる

人は気持ち良いと感じたことは長期的に、繰り返し行いたいと考える傾向があります。
美味しいものはたくさん、何度でも食べたいですよね。睡眠も心地よいものですから、みなさん毎日一定の時刻になると欲求にかられていると思います。また大人の恋愛などはその最たる例と言えます。


これは生きていくために必要なことだからです。
例えば、人は何も食べなければやがて死んでしまいます。そこで我々人間を作った方は、食べることが快感になるよう「美味しい」という感情を植えつけたのでしょう。大人の恋愛もですね。子孫反映は生命としての本能ですから、強烈な欲求になるよう「ステ振り」されています。

当たり前の話のように聞こえますが、ここ大事です。

「ゲーム」は生命活動に必要か?

話しを戻しましょう。
ここまでで、ゲームは生きていくために必要なのか?、という疑問が湧くと思いますが、ご存知の通り、特別必要なわけではありません。しかし現実に我々はゲームをプレイしていると、楽しくて夢中になりますし、脳汁をほとばしらせて周りが見えなくなってしまうこともあります…あ、ありますよね?(;´Д`) ゲームは重要な生命活動と同列、時としてそれ以上の快感がもたらされていると言えます。不思議ですね。


これは「学習」という行為その物が、生命活動において非常に重要な物と位置づけられているからでしょう。


マンモス肉を得るためには?

「学習」というと何を思い浮かべますか?
英語やドイツ語のような語学や、数学の公式が浮かんだ方、もしかしたら仕事上必要な知識だったりするかもしれませんね。しかしここでいう「学習」はもっと原始的な物をイメージしていただく必要があります。

例えばあなたが石槍を扱えるようになったばかりの原始人だったとしましょう。
唐突ですがイメージしてください。動物の皮を袈裟みたいに着てもいいですし、バナナの皮を巻いて服にしていても良いです。

さて、ご飯を得るためには石槍でマンモスを倒す必要があります。あるということにしましょう。マンモス肉美味しいですからね。しかし、石槍が目の前にあったとしてもそれでマンモス肉はGETできません。まずは使い方を「学習」するところから始める必要があります。

あなたは息を殺してマンモスに近づき全力で石槍を付き立てようとしましたが、運悪くマンモスに気づかれ後ろ足で蹴り飛ばされてしまいました。近寄るのは無理なようです。それならと遠くから石槍を投げたのですが、あえなく届かず何度もやっているうちに逃げられてしまいました。

あなたはトレーニングを重ねます。少しでも遠くに投げられるように鍛えます。効率の良い投げ方も研究するかもしれません。後日、投槍をマスターしたあなたは見事マンモスに命中させますが、たった1発ではやられてくれません。何度も投げて見るものの、1発目があたった時点で逃げられてしまいます。

あなたは考えます。
1発でムリなら複数の石槍を使う必要がある。しかも逃げられるリスクを考えると一度に複数、できれば大量に被弾させる必要がある。しかし一人ではムリと考えたあなたは周りの人間に協力を求めます。

その後あなたは立地を利用しマンモスを追い詰めるなどの作戦を立てて、仲間とともに見事マンモスを射止めることに成功したのでした。もちろん1人当たりの分前は減ってしまいますが、それでも十分と言えました。

あなたは火を起こし、仲間とともにマンモス肉を頬張ります。

あなたは快感に襲われます。
マンモス肉という美味もさることながら、散々苦労し、様々な工夫を積んで得た成果を思い出し、その成果に対して脳汁が溢れ出ているのを感じます。

しかし戦いはこれで終わりません。
人間は定期的に食事を取らねばならないからです。あなたはより効率的に狩猟することを計画していくでしょうし、ある程度の時間が進行すればもしかしたら現代の牛やブタのように自ら育てることで安定供給を図っていくのかもしれません。


ゲームの面白さは「マンモス肉」

もうお分かりでしょう。
学習していくことが生命活動に関係していること、そこで快感が生まれること、こられが「ゲーム」そのものと言えること。

冒頭の文章をもう一度引用しましょう。
我々が学習するということは、種の存続にとって重要だということを示しています。それゆえ、肉体は喜びという報酬を与えて我々に報いてくれるわけです。ゲームの中におもしろさを見いだす方法はいくつも存在しますし、その他のことに関しては後述します。しかし、これこそが最も重要なことなのです。 
ゲームから得られるおもしろさは、達成感から得られるものです。そしてそれは会得したという事実からもたらされます。それは、ゲームをおもしろくすパズルを解く行為そのものなのです。
言い換えると、ゲームを使った学習は麻薬なのです。  
「おもしろい」のゲームデザイン ―楽しいゲームを作る理論より

マンモス肉を得るための行動はまさにこれらを体現しています。 
  1. 学習するということは、種の存続にとって重要
  2. 肉体は喜びという報酬を与える
  3. 達成感
  4. パズルを解く行為そのもの
  5. ゲームを使った学習は麻薬

1,2,3については説明は不要かと思います。

4はマンモスを倒す過程で考慮した様々な工夫のことです。それら切磋琢磨が積み重なることで得られた成功体験は何者にも変えがたい喜び、快感を与えてくれます。パズルで違和感のある場合は、シミュレーションと置き換えても良いかと。

5の「麻薬」は終わりのない快楽とも言えるでしょう。
一度味を締めてしまうと、繰り返しその快楽を味わいたいと思います。おそらくマンモス肉を得るというのが手段になり、マンモスを倒し快感を得ることが目的となってしまうかもしれません。またより強い刺激を求め始めます。
人間は定期的に食事を取らねばならないからです。あなたはより効率的に狩猟することを計画していくでしょうし、ある程度の時間が進行すればもしかしたら現代の牛やブタのように自ら育てることで安定供給を図っていくのかもしれません。
ここまで来ると少し残酷なお話になってしまいますが、より高度な「シミュレーションゲーム」へと進んでいくのでしょう。


まとめ

私たちは「学習」を繰り返すことで生きています。
普段は意識することはありませんが、例えば自分自身の身体の動きや仕組みから、他者からのコミュニケーションも毎回そのパターン(ケーススタディ)を学習しています。毎朝見るニュースでは社会情勢や事件、また食事、土地、天気…上げればキリがありません。

新しいことを学習しようとすると、私たちの脳内では脳内物質が生まれます。
さらにそれをパズルのように組み合わせて、何らかの目的を達成すると、快感を得ることができます。

「ゲーム」はこれらの生体機能を利用することで楽しさを創りだしているのです。

ソーシャルゲームは「マンモス肉」か

「ソーシャルゲーム」は「ゲーム」ではないと言われるのをよく聞きますし、自分でも時々言います。

ここで言う「ソーシャルゲーム」という言葉の定義は

  • カードゲーム
  • ひたすらボタンをタップする
  • 基本無料、ガチャで課金
といった類のものです。

言葉遊びになってしまいますが、「ゲーム」と言われて、20代以上の日本人の多くは家庭用ゲーム機で動作するゲームをイメージします。そのイメージとかけ離れてすぎているため、このようなリアクションが多くみられるのでしょう。

……と、この続きを書こうと思いましたが疲れたのでここらへんでいったん区切りたいと思いますw
次回の更新でここらへんを整理してみようと思います。



また、末筆ではございますが、ページ冒頭の写真はマンモスの肉ではありませんので、あしからずご了承いただければと思います。
かしこ

「おもしろい」のゲームデザイン ―楽しいゲームを作る理論
「おもしろい」のゲームデザイン ―楽しいゲームを作る理論Raph Koster,酒井 皇治

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2013年5月8日水曜日

【嫁コレ】 実弾の応酬にキミは現実を見ずにいられない!

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さて、諸般の事情から調査がてら「嫁コレ」をプレイしております。
お目当てのキャラに集中し、プレイ1週間ほどでビギナーランキング2位までたどりつきました。課金額は約5000円。割と楽勝か?と思っていたのですが…。

8万 対 1800万

嫁コレは「愛情度」というパラメーターが重要なファクターとなっており、この愛情度でランキングが作成されます。自分の場合は1週間5000円で約8万しかし…累積ランキングの上位者はなんと1800万超え…。
いやいや、どう考えてもおかしいやろw
このアプリ、愛情度が増える度に録り下ろしのボイスのロックが開放されたり、新しいカードが入手できるなど、何かしらのイベントが発生するのですが、それも大体30万までですべてのイベントが終了するんですね。このキャラの場合はわずか7万代で終了。愛情度は30万以降も増え続けるのですが、事実上のカンストと言えます。

危うい所有欲を刺激し続け、モチベーションを高める

しかも1日、無課金状態でやった場合は、+1万 くらいがいいところなんです。チートやバッチを疑うレベルなんですがw どれだけ課金してるんだ。モチベーションはランキングのみなんですよねぇ。
冷静に考えれば、ランキングで順位を抜かれるということは、自分の嫁がほかの男に取られる…と想像できます。男としては耐えられないですよね。

嫁コレで愛情度を上げる手段は次の2つに大別されます。
  • 「嫁」とのコミュニケーション
  • プレゼント
コミュニケーションは、「嫁」を撫でたりキスしたりといった物なんですが、これは1~数時間に1回程度行うことができます。しかしプレゼントはガチャを回して出てきたアイテムをいつでも、いくらでも投下し、数値を上げることができるのです。

まさに実弾(現金)のぶつけ合いの数字といっても過言ではないでしょう。
ポルナレフでなくても思わず「
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ」と言いたくなる昨今であります。

…まぁ、ある意味、現代社会の現実に則したゲームシステムと言えなくもないですね(遠くを見つめながら)。リアル系か。自分の好きなキャラがお金のために仕方がなくなびいている、というNTR妄想をするのも、楽しみ方のひとつかもしれませんんね!

ご利用は計画的に

ちなみに他のキャラは3000万、5000万超えも。こちらも合わせてご報告をいたします。



助手ェ…。

ちなみにiOSの売上げランキング(全カテゴリ)で、2013年4月実績でおおよそ150位前後となっている模様です。100万DL突破、1.5年程度経過したアプリとしてはそれほど悪くない成績ですね。


なお、本名でランクインすると、壮絶に生き恥をさらしてる気がしますが、ひとまず気が付かなかったふりをする方向でよろしくお願いいたします。




2013年1月11日金曜日

「世界のゲーム業界最新動向と海外CGプロダクションへの道」セミナーのメモ

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秋葉原にあるデジタルハリウッド大学で1月9日(水) 20:00に行われた公開セミナーに行ってきました。世界に名だたるタイトル「ディアブロ」「ウォークラフト」などをリリースしている「ブリザード・エンターテインメント」のアニメーター並木貞久さんの公演。モデレーターはデジハリ大学の講師 山本浩司さん。
CG関連の話がメインなのでわかるかなぁと少し不安だったのですが、海外のプロダクションがどういった体制で、どのようにモノ造りをしているのか現場の声が聞けて非常に刺激的な時間でした。

ブリザード以前

  • 『ビジュアルワークス(スクエニ合併前)』時代
    • 職種としては「コンポジット」「ライティング」からスタート。1年ほど担当した。「キングダム」プロジェクトから2年間ほどアニメーター。
    • 辞めるきっかけとしては、もともとアニメーションをがっつりやりたかったのだが、スクウェアでも半分はテツケやキャプチャが主だったので業務が物足りなかった。当時、海外(米)でフルCGでの映像制作をがっつりやり始めてたのでそっち(アニメーション)をやりたかった。


  • 『パパイヤスタジオ』時代
    • ちょうど先方が日本人のアニメーターを探していた。こちらも海外へ渡るために就活をしていたので、とりあえず細かいことは向こう(アメリカ)へ行ってから考えようと思って二つ返事でOKした。
    • 実際に渡米し入社してみると、
      • 10人規模、学生がたくさん。ソニーの仕事があるという話だったが、一ヶ月くらいでキャンセルになった。いい人材がいなかったため、1年半〜2年くらい何も世に出せなかった。
      • とうとう会社が給料を出せなくなり、1ヶ月くらい休職してほしいという依頼が。


  • アメリカでの就活
    • 自分の会社のスタイルを実現してくれる人しか採ってくれない。※リアル調のところに、アニメ調の物を出してもしょうがない※たとえばピクサー社員でもブリザードに落ちることもある。
    • つまり青田買いみたいなことはしない
    • 3年間、寺子屋的なところに行きながら就活。その後ブリザードに受かる。


ブリザードでの経験

実際に携わったアニメーション


  • 「ジェネラリスト」か「スペシャリスト」か
    • 日本のようになんでも色々できる人は稀で、基本的に全員何らかのスペシャリスト。
    • しかし専門外のことが全くできないのは問題。ほとんどが80点、得意分野が200点。
      • 具体的にはとなりでやっている仕事の内容も知っていないといけないため。極端に苦手な分野があるのはダメ。
      • 知らないで依頼をすると言い返されて難航することもあるので、少なくとも自分の業務の隣の知識は必要。


  • 日本人の強みや弱点
    • やはりアジア人は真面目で器用な人が多い。
    • しかし弱いところ(悪いところ)の方が目立つ。特にプッシュが弱い。向こうだと主張の強さが大切。日本人ならではの「良い物作ればいいじゃないか」というノリは好まれないし、気付かれない。
    • うぬぼれはダメだが、自己主張が大切。


  • 言葉の壁は?
    • 英語がすごくダメという理由で採用されないということはそこまではない。もちろん最低限のコミュニケーションは取れないとダメだけど。
    • 採用後、上に行く場合はやはり自己主張がどれくらいできるかが大切。


  • 最新動向
    • アメリカの強みはハリウッドなどの映画産業が近くにあること。映画のクオリティに引っ張られてゲームも伸びていった。映画業界からのリクルーティングが盛ん。社内に映画業界から来た人がいっぱいいる。映像表現やテキスト(セリフやストーリー)などもそういった専門家をとってこれる。
    • 映画のようなゲームという点で日本がそれに叶うわけがなかった。
    • 日本もどうようのことをすれば強くなれる?
      • 正解はひとつでない。映画産業を取り入れることがアメリカでは自然だったから成功した。日本で同じように映画業界の人を持ってくればよかったか?というと自然ではなかった。
      • 日本のゲームは昔強かった(元気だった)が、最近までひっくり返っていた。本当に最近はmobage、GREEで元気になってきたので流れが変わってきつつあるが。


  • 制作環境
    • ウォークラフトなどのヒットで予算も組みやすい。そのおかげで工数がかかる場合は諦めるといったことも少ない残業もそんなにない。
    • オフィスに犬もいる。


  • 「パス」という考え方
    • アニメーションでは4つの制作段階を設けており、それを「パス」と呼んでいる。
      • 1stパス
        • ブロッキング。そのショットで何が起こっているか要素はすべていれる。ポージング大事なのでじっくりやる。
      • 2ndパス
        • ほぼ完成段階。なめらかなアニメーションになるよう作りこむ。
      • 3rdパス
        • フェイシャルがメイン。指、細かい筋肉のゆれなど微調整。シミュレーションに投げる。この時点で完成。
      • 4thパス
        • 完成がない世界なのでどうしても直したいところに手を入れる。おまけ的な。
    • 基本的にクリエイターは途中段階の物を見せたくない。しかし「これは1stパスです」と言うことで、できていない部分を変に指摘されない。逆に3rdパスでできていなければガンガン突っ込まれるし、突っ込める。

  • リファレンス
    • 絵コンテにあわせ、リアルな人間が演技をして実写の映像を作成する。
      これを「リファレンス」と言っている。
    • リファレンスにはディレクターなどの偉い人や手の空いているスタッフも参加。
      • 普段はアニメーターが空いている人をみつけて、部分的に撮ったりする。
      • リファレンスを撮るための専用の設備もあるが、社内の周りにある駐車場など思いのままの場所で撮ったりする。半分は遊びのようなものでみんな楽しんでやっている。
    • リファレンスを撮るのはディレクターの意思を確認するのが目的。
      • アニメーターが実際にCGを作ってディレクターに確認、というのだと非常に時間がかかり効率が悪い。実写映像をサクッと撮ったほうが作業効率、意思疎通が早い。
      • 演技は数パターン撮り、どのイメージかディレクターに選択してもらう。

  • カルチャーショック
    • (米では)演技のやりとりまで普段の業務に入ってくる。すごく時間がかかるが、常に求められる。
      • 日本だとそこまでやっているか?予算(コスト)もあるし中々追求してそういった物を作るのは難しいかもしれない。
    • アニメーションチームのMTGが刺激的だった。
      • ディレクター、スーパーバイザー、アニメーター4人。でかいディスプレイが置いてあるので、再生しながらみんなで言いたいことを言い合う。本当に言いたい放題。新人も関係なく主張することはする日本だと指示を仰ぐだけだの場合が多い。
      • 最初は言いずらかったが、少しづつ話すことを続けていると、次第にみんな聞いてくれるようになる。そして黙っているとみんなが意見を求めてくるようになった。これが認められたと感じることができ、すごく嬉しかった。
    • スーパーバイザーのプライドが傷つかないのか?
      • アニメーションの場合は少なくともみんなで意見を言い合った方が、良い物になる。「違うもの」ついては最終決定をスーパーバイザーなどが行う。スーパーバイザーも言われて気がつくこともあるし、スーパーバイザ自身が成長できる。
    • 日本でもこういった形のスタイルを取り入れていった方が良いかも。向こうで体験してすごく良かった。

  • 自由度
    • スタークラフト、ディアブロは歴史があるので世界観を壊さないで、という指示が入る。あまり自由にはやらせてもらえない。
    • WoWは今までのイメージにとらわれず、毎回考えているので自由な発想で挑戦できる。
      • 今回自分が携わったプロジェクトではパンダが主人公なので、リアルよりというよりはフェイシャルをコミカルにしてみた。これはブリザードとしては珍しい試み。

  • 注意点>学生向けに
    • 最近は色々ツールが進化して、細かい物が色々簡単につけれるようになったが、ベースができていない場合がある。
      • ディティール(見栄え)よりも、ベースができているかが大切。就活でプロの人に見せる場合はとくにそういったところを見られる。味付けとかは後で良い。アニメーションだけでなくモデリングとかも同じ。
      • 根っこ(本質)がしっかりしたものを作って、デモリールにしてください。
    • アニメーションに正解はない。
      • 学生のころから違うとか言われるけど、道は一つではないので、色々な意見を吸収して一番良い物にしていくことが大切。
  • その他
    • マットペイント
      • 3Dでキツイところは2D絵で描いて、その上で動かすところを3Dで、といった感じで作業を効率化する。
      • 以下のシーンが話題になったためこのトークになった。
        次の3分15秒前後のシーンでは、3Dの映像であるものの背景はすべて2Dのイラスト。そこの上で動いている物が3Dとなっている。

    質疑応答

    • ビザについて
      • 自分のビザはH1。4年の大学出るか、4年の実務経験が必要。会社が出すのを嫌がるケースは稀だと思う。ビザが取れるかどうかは本当に国の問題。ビザで働いている人が結構いるのでハードルとしては低いのではと思う。
      • カナダから行くと取りやすいという話もある。
        バンクーバー(カナダ)の会社も元気になってきているのでそっちで行くという
        選択肢もある。アメリカの国に限らず色々なパターンを考えてみては。


    • 採用について
      • やはり人脈強い。
      • デモリール送るだけより、人づての方が入ってる人多いくらい。最近は日本人がどんどん出ていっているのでそういった人を捕まえるのは、これまでよりもやりやすい


    • 映像プロダクションと、ゲーム会社で行き来はある?
      • 映像の人はゲーム側が欲しがっていたのでスムーズ。
      • ゲームから映像に行くのは厳しいと言われていたが、垣根はずいぶん低くなってきている。ブリザードからピクサーとかに行ってる人もいる。

    • 一人に複数のポジション(仕事)がある?
      • ブリザードはわりと特殊で、ひとかたまりの作業として振られる。その中に職種的な物が2つあったということ。
      • ビジュアルワークスの場合も両方やってたのは特殊。

    • モデリングする人は、原画も描いてる
      • コンセプトアーティストは専門にいるので、その人が描いたものをモデリングしていく。コンセプトアーティストはそれ以外は基本的にやらない。
      • 例えばコンセプトアーティストが最初に表情を20〜30個描く。モデルやアニメーション作るときにそれらを参考にしながら(ものさしにしながら)、みんな作業をしている。

    • マッドペインターは他の仕事をやってる?
      • マッドペインターはそれだけやってる。描く仕事だけ。

    • 戦闘アクション制作時に気をつけていることは?
      • 映画だったら専門の人がいるが、アニメーターは専門ではないので、ひたすら調べる。
        色々な映画や映像のアクションシーンを見る。
        絵コンテで大体の流れは決まるが、どういったアニメまでは決まっていない。ひたすらリサーチ。
      • エネルギーはどこから生まれているかを考える。運動エネルギーはぱっと出て、ぱっと消えたりはしない。ある方向から生まれ、動きながら流れて消えていく。

    • 「パワーポイント」という考え方
      • キャラクターを作る上で、どういった性格や考え、背景があるのかなどを考えてアニメーションを作る。 それとは別の話で次のような考え方がある。
      • 例えば
        • 妊婦さんはお腹が「パワーポイント」。お腹を中心にして動きをする。そこが「パワーポイント」。物理的には腰だが意識は腰。
        • 囚人は足のカセがパワーポイント。
        • 匂い嗅ぎながら歩いている人は鼻がパワーポイント。
      • 以上のように、キャラクターのどこに「パワーポイント」があるかを決めると、自分の中にぶれが生まれない。